今日から騎士団長の愛娘!?~虐げられていた悪役幼女ですが、最強パパはわたしにメロメロです~

 その瞬間に、ふたりの間にピンと張り詰めていた緊張感が立ち消える。
 ――ワァアアーッ!
 同時に周囲がドッと沸き、拍手喝采とパパの勝利、そしてふたりの健闘を称える声がそこかしこからあがる。
 私も初めて目にした気迫溢れる剣戟と、なにより脳裏に鮮烈刻まれたパパの雄姿に胸のドキドキが鳴りやまない。
「むむむ、今回はイケると思ったんッスけどね」
 肩をヒョイと竦めながら落ちた剣を拾うバイアスさんに、パパが剣を鞘に納めながら言い放つ。
「俺に勝とうとは、まだ十年早い」
「そうやって油断こいてると、そのうち痛い目を見るッスよ」
「ハッ! 望むところだ」
 先ほどまでの緊迫した切り合いが嘘みたいに、ふたりは軽口を言い合っていた。
 興奮と歓喜でいまだ胸がいっぱいの私は、眩いばかりのパパの姿をジッと見つめたまま、なかなか動きだすことができなかった。
 あ、パパのところに……。
 私がやっと一歩を踏み出しかけたその時。私の横を女性騎士の集団が通り過ぎていく。
「あっ!?」