あやかし戦記 裏側の世界へようこそ

重いかばんを持って各部屋に移動したため、汗を拭きながら水を飲む二人にイヅナは謝る。イヅナがかばんを持つ前に二人が次々運んでいき、イヅナの出番はほとんどなかった。声をかけたくせに仕事をほとんどしなかったことを、イヅナは申し訳ないと思っていたのだ。

そんなイヅナに対し、二人はニコリと笑ってイヅナの頭に触れる。レオナードは髪が乱れてしまうほど雑に、ヴィンセントは優しく触れてくれた。

「力仕事、女の子にさせるわけにいかないだろ？俺に任せろ！」

「気にしなくていいよ、イヅナも軽いものを運んでくれたんだから。ありがとう」

レオナードは親指を立てて笑い、ヴィンセントは優しく微笑んでイヅナを見つめる。いつも一緒にいた幼なじみ、でもやはり男女という大きな差が生まれていて、イヅナの胸がギュッと締め付けられた。

「じゃ、じゃあ荷物も運び終わったし、早く花畑に行きましょ？」

顔を赤くし、イヅナは素早くバンガローから出る。その間、胸のあたりはバクバクと音を立てていた。