イヅナが訊ねると、ギルベルトはパーティーホールの時のようにふわりと微笑む。ギルベルトの顔立ちは華やかで整っている。ドキッとイヅナが胸を高鳴らせていると、イヅナの両手がギルベルトの手で包まれていた。

「ねえイヅナ、君は妖と人が共存する道を探りたくて騎士団に入ろうとしてるんだよね?」

「は、はい……」

「ならさ、君の上司に俺がなってもいいかな?」

「えっ?」

ギルベルトの部下になるということは、最前線で戦うことはない。ギルベルトの研究を手伝うのが主な仕事になる。

「君の様子を見ていると、戦いには向いていないと思うんだ。別に最前線じゃなくても共存の道は探れるよ。どうかな?」

イヅナは考える。ギルベルトの言う通り、戦うことに向いているとは言えない。性格面でも、武術の才能面においても、イヅナは向いていないだろう。それに、最前線に出るということは、あんな悲惨な殺され方をした人たちを見るかもしれないのだ。しかしーーー。