「行ってらっしゃい！」

家族が手を振り返してくれたため、イヅナはさらに上機嫌になってお気に入りの歌を口ずさみながらドアを開ける。外は変わらず綺麗な青空で、イヅナが外に一歩踏み出すと、優しい夏の風が頬を撫でていった。まるで、風も「行ってらっしゃい」と言っているように感じる。

今回、キャンプに行くのはイヅナと二人の幼なじみだ。幼なじみの一人の家族が車を出してくれる。小さい頃からの付き合いのため、緊張などはなくただ楽しみだ。

車を出してくれる幼なじみの家が集合場所である。赤い屋根が特徴的な存在感のある二階建ての家だ。

「おはようございます！」

イヅナが車が止まっている庭に声をかけると、幼なじみの父が「イヅナちゃん、おはよう。早いね〜」と微笑む。

「楽しみで早めに来ちゃいました」

「そうか！俺たちも楽しみだよ。荷物、車に乗せるね」

車のトランクに荷物を入れてもらい、イヅナと幼なじみの父が話していると、「おはようございます」と声をかけられる。

「おはよう、ヴィンセント！」

二人いる幼なじみのうちの一人であるヴィンセント・レゴシが来た。夏の光に照らされて輝きを放つ銀色の髪に紫の目を持ち、白いシャツと青いパンツを履いている。