「何で、教えてもらわなきゃ格闘技も武器もまともにできないあんたが、みんなから大切にされてんのよ!!」

「えっ……」

「甘ったれで、グズで、ちょっと頭がいいだけなのに、あんたの幼なじみもアレンも何であんたをあんなにも気にかけてんのよ!!妖に憎しみがあってここに来たわけじゃないんでしょ!?」

チターゼの剣幕にイヅナは何も言えない。チターゼから発せられる罵声をただ聞いていると、イヅナの頬に温かいものが落ちてきた。それは、チターゼの流した涙だった。チターゼは顔を歪めて泣いていた。

「……あたしッ、あたしの家族はね、怪物に全員喰い殺された!父さんも、母さんも、兄さんも、姉さんも、弟も、全員死んだ。あたしが家をちょっと留守にしてる間に、全員……。だからあたしは妖が憎い!大嫌いだ!だから、あんたみたいに「妖と共存したい」とか甘ったれたこと考える奴が許せないんだ!!」

そう吐き捨てると、チターゼはイヅナを放してどこかへ行ってしまった。イヅナはただ、呆然とその後ろ姿を見つめる。そして、その瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。