「そんな顔すんなよ。イヅナを一人、訳わかんない騎士団の試験に行かせるのが不安だったからついて来たんだ。俺の意思でな」とレオナードが力強く笑う。

「アレス騎士団について、僕なりに色々調べてみたんだけど何も出てこなかったんだ。知らないことはとことん調べたいからね。あと、イヅナが心配だから」とヴィンセントが優しく言う。

「二人とも、ありがとう!」

二人が自分の意思で試験を受けると聞き、イヅナは少し安心する。何の情報もない騎士団の試験など、一人だったら絶対に不安だった。でも、だからと言って大切な幼なじみを巻き込むようなことはしたくない。

「アレス騎士団があるのは、僕たちが住んでいる町から列車で四時間かかる場所だね。そこからは山の方に行かなきゃいけないみたいだ」

ヴィンセントが手紙を読み返しながら言うと、レオナードが「駅にはアレス騎士団の迎えがあるって書いてあるから、歩いて行かなくていいんだよな!」と嬉しそうに言う。列車の旅は座っているだけとは言え、長旅になると疲れるものだ。迎えがあるのは助かる。