クラスメイトが見たらぜったい馬鹿にするだろうけど、でもわたしはずっと憧れてた。

こうして放課後に誰かと一緒に行って、他愛ない話を繰り広げるの。


それに今わたしは制服姿だからグッドタイミングだ。



「おねがいっ!1回でいいから…!」



ハヤセなら首を縦に振ってくれるような気がする。

思わず黒いタキシードをぎゅっと掴んで、お願いした。


そんなわたしをじっと見下ろしてくる。



「…足りねえな」


「えっ」


「エマお嬢様、帰ったら少し難しい課題がありますよ。それを差し置いてまでファミレスに向かうのですから」



おねだりが足りないでしょう───?


まさかそんなことを言ってくるやつだとは。だけど、ここはもうハヤセの言うとおりにするしかない。

でも……おねだりって、どうやってするの…?



「ハヤセっ、おねがい……いきたい、」


「……もう1回です」



え、まだ足りない…?

というより……このひと楽しんでない…?



「いきたい、ですか?」


「うんっ!」


「ちゃんと言葉で言ってください、エマお嬢様」