───ガチャッ。


そして玄関からの物音。


早乙女の忘れ物?それとも新しい執事?

そんな懐かしいデジャヴに、わたしの顔はきっとほころんでいることだ。



「誰ですかーー?どちら様ですかーー?できればリボンタイで黒髪イケメンな…わたしにだけ優しい執事さんでお願いしますよーっ」


「───はい、承知いたしました」



半分冗談、半分本気。

そんなふうに呑気に放り投げた言葉は、目の前に現れた男によって大正解となった。



「…それで100歳になってもおばちゃんになっても隣にいてくれるような人だよっ」


「それは俺しかいませんね」


「でもっ!もう…お姉ちゃんのほうにも行かない人だよ…?」


「言ったでしょう、あれは賭けだったって」



思わずぶすっと口を尖らせた。

彼はそんなわたしだけを見つめて優しく微笑んでくれる。



「わぁっ、」



ふわっと宙に浮いた身体。

抱き上げられるように椅子から離れたと思えば、軽々とお姫様抱っこされてしまった。



「…遅いよハヤセ。どこ行ってたのっ」


「四つ葉のクローバーを探していたら…少し迷ってしまいました」