『お姉ちゃんっ!これ!四つ葉!しあわせになれるんだよ!あげるねっ』



小さいときにエマが四つ葉のクローバーを私に差し出して、そう笑いかけてくれた。


私はエマのことが大好きだったから。

それでいてあの子がお父さんや柊家に期待をされていないのも知っていたから。



『エマ、それはあなたが持っていて。わたしはエマにいちばん幸せになって欲しいから』


『ううんっ!わたしはお姉ちゃんの妹に生まれてこれて、すごくしあわせっ!』



そう言われたあと、私はどうしてか泥まみれになりながらも日が暮れるまで四つ葉のクローバーを探した。

妹のために必死に必死に、そんなことをしたのは初めてだった。


それでもやっぱり私には四つ葉は見つけられなくて、それがどこか悔しくもあって。

エマが羨ましいって思ったりもして。



『エマ、わたしたちはずっとずっと姉妹よ?この先喧嘩しちゃっても、たとえエマがわたしのことを嫌いになっても。
それでもお姉ちゃんは、エマのことが大好き』


『───…うんっ!!』



それなのに嫌いになって離れようとしたのは私だった。


私が真冬くんを連れて隣に座ったとしても、忘れたふりをしつづけていたとしても。

クラスメイトから比べられて笑われたとしても。