「アリサ、ごめん。覚えてないお前にこんなこと言っても無意味かもしれないけど……いろいろ悪かった」


「…柊と早乙女が繋がらなかったら、両家にとってかなり痛手なんじゃないの…?」


「だろうね。でもそこはアリサにも負担かけないように俺が柊のおじさんに言っておくから任せて」



まるでそれが私に対する謝罪と罪滅ぼしとでも言うかのように。

思わずふるっと、唇が震えた。



「だからアリサ、もう良いだろ?意地なんか張らなくても」


「っ…!」


「本当は覚えてるんだろ、俺のこともエマのことも。やめちゃえよ意地っ張り」



そんなに私の嘘は見破られてしまうのかと自分を責めたくなった。

それなのにどうしてあなた達はみんなして、そんな優しい顔で見つめてくるの。


事故をいいように利用して妹にすべて背負わせたような、こんな最低な姉だというのに。



「お前の立場の辛さはさ、ある意味俺がいちばん分かってる」


「…わかってないわよ、」


「うん、じゃあ知らねーよ。でも俺はお前には幸せになって欲しい、俺も幸せになりたい。だから婚約は破棄。
…金で買えないものが俺は欲しいから」



幸せになって欲しい……なんて。

その言葉は昔、私もあの子に言ったことがある。