ちゅっ、ちゅっ。


リップ音をわざと響かせるようにひとつひとつ落としていって、そしてたどり着いた膝小僧。

何をするのかと構えるように身体を強ばらせていれば───



「うひゃぁ…っ!や、なにするのハヤセ……!」



唇の優しい感触から、ペロッと生暖かい舌の生々しいものに変わった。


思い返せばそこはいつかに体育の授業で転んでしまった場所。

血が出ているからと早乙女とハヤセが手当てをしてくれたっけ…。



「や、くすぐったいよっ、…恥ずかしい、やめてハヤセ、」


「駄目です、ちゃんと消毒しないといけませんから」



消毒って…もう治ってるのに。

血も出てないし擦り傷だって綺麗に消えてる。

破傷風にだってもうならないよ…?
それはなんの消毒なの…?



「や、…ぁ、」



膝小僧を刺激しながらも、際どい付け根付近をまさぐるように動く手。

そこだって早乙女に触られた場所。


消毒って……そーいうことなの…?

でもそこの消毒はもう終わってるのに。



「あ…っ、ハヤセ、」


「…もっと俺の名前を呼んでください」


「っ、ハヤセ、ハヤセ、」


「ふっ、…そこは下の名前じゃねえのか」



膝小僧に、太ももに、頬に、おでこに、唇に。

甘い甘い消毒は幸せなくらい与えつづけられた───…。