俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





そう言ってわたしをふわっと抱き寄せた。


その一瞬すごく幸せそうな顔が見えて。

何よりも満足そうな顔もしてたから、それで許しちゃうのだって悔しいけど。


でも、何がなんだか全然わかってないわたし。



「俺も───…好きだ」


「!!」



ハヤセ、わたし嘘ついた。

ずっとずっと前にあなたに嘘をついたよ。


わたしね、四つ葉のクローバーを初めてあげたのはハヤセじゃない。

お姉ちゃんにもあげていて、でもそれもまた違う。


小さな頃、屋敷の裏で泣いていた1人の男の子にあげたことがある。


あの子はもしかして……もしかして───…。



「す、すき……?え…、だれを……?」


「エマお嬢様に決まっているでしょう」



ゆっくり身体が離れたとき、首元に新しい重みがあった。

それを見た瞬間にせっかく止まった涙がぶわっと溢れて。



「…な、…んで……これ、」


「俺もやっと見つけたんです、四つ葉のクローバー」



彼はネックレスとわたしの両方を瞳に映して笑った。


でもどうして…。

あんなに容赦なく千切られたのに、元通りになってる…。

それでもよく見ると少し歪(いびつ)な形をしていて、無理やりにも修理した跡が見えて。