俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





迷惑かけない、ひとりで頑張る。

先生に怒られても真面目に真面目にやるよ。それでハヤセの手助けは一切貰わない。


あなたに恥をかかせない、Sランクに泥だって塗らない。

だからあなたはわたしの隣で見守っててくれれば、それだけでいい。



「おしとやかにする、スカートに変える……、花瓶も割らない、もう廊下だって走らない……」


「…エマお嬢様、」


「だから……そんなこと言わないで……、」



ハヤセしかいないの。

ハヤセだけだったんだよ、こんなわたしを最初から認めてくれたのは。

わたしの手をそっと握って心配してくれて、絆創膏を貼ってくれて、パンにジャムを塗ってくれて、フルーツを切り分けてくれる。


そんなのハヤセだけだった───…。



「迷惑なら2度と声もかけない、近づかない、名前も呼ばないようにするから……、
でもハヤセだけは…わたしのこと、馬鹿って目で見ないで……っ」



毎日猫ちゃんにご飯をあげることも、サッカーで誰よりもはしゃぐことも。

お昼ご飯はたくさんおかわりすることも、ダンスすら踊れなくて簿記すらできないことも。


ファミレスや回転寿司に行きたいって言うことも、雪が降ってたら雪だるまを作ることも。