もう意地なんか張ってられない。

今日だけは特別だ、だって意地を張るってことよりも恐怖のほうが勝っちゃってるもん…。



「無事で良かった…、探しました」


「お姉ちゃんと早乙女は…?」


「俺もはぐれてしまったんです。たぶん2人は一緒にいるんじゃないかと」


「そ、そう…」



……でも気まずいものは気まずい。

ぷいっと顔を背けるように体育座りを決め込むと、気にしていないように隣に腰かけてきた。


沈黙が流れるけど、やっぱり嫌じゃない。

むしろこんな時間が久しぶりに訪れて嬉しくもあった。



「2人のところに行かなきゃ…」


「行きたいですか?」


「っ、……だって宝箱、」


「俺は行きたくないです。エマお嬢様と2人でいたい」



だから腕を掴んでくるの…?

離れようとすれば、それ前に詰め寄られてしまって無意味。


とうとうトンッと壁にまで追いやられてしまって。

気にしてなかったけど、倉庫のドアはしっかりと閉められていた。



「な、なにっ、」


「少し前に熱を出したとき、俺になんと言ったか覚えてますか」