『よしよし、迷子?お母さんは?あっちにいるの…?』


『…お嬢様、猫の言葉が理解できるのですか?』


『ううん適当!でもそんな感じがしたから!』



そして母猫が見つかるまで、どんなに時間をかけてまでも一緒に探す。

見つからなかったならば屋敷の中へ誘うことも日常茶飯事でした。


動物は優しい。

動物の目は何よりも綺麗。



『あ!あの猫がお母さんじゃない…?やったぁ発見!もう迷子になっちゃだめだよー?』



レースの付いた白シャツに赤いリボン、フレア素材の膝丈スカート。

茶色い髪をした姉とは違って黒い髪。


自分と姉が腹違いの姉妹だということは知っていたけれど、それすらも気にしていなくて。

そんな実の母親は、傍にいません。



『でもお姉ちゃんのお嬢様学校にはイケメン執事が付くんでしょー?すごいなぁ』


『アリサお嬢様は首席だと聞いております』


『わぁ!さっすがお姉ちゃんっ』



それは中学3年生の12月、受験前の年。


まさか高校2年生の姉が交通事故に遭うなんて思っていなく。

そして姉の代わりに、妹である自分がお嬢様学校へ通うことになるなんて。