「…え、ここまで言っても分からない?」


「なにがだよ」


「もしエマが俺の気持ちに応えようとしてくれてるなら、いま俺はたぶんここにいないだろ」



さすがにその先は言わせないで欲しいんだけど。

それに俺、何をこいつにアドバイスのようなことしちゃってんだよ。


だからエマの気持ちなんか1つしかないだろって言ってんのに、こいつほんとに分かってないの?



「んなのとっくに知ってる」


「なんだ、じゃあさっさと伝えろよ」


「俺は執事だ、自分からは言えない。だから…泣きながら言わせたい」


「ただのクズじゃん」



でも俺もそれは分かるかなぁ。

きっとエマを好きになる男ってみんなこんなタイプだと思う。


なんていうか可哀想だけど、本物のサディストに好かれるタイプだからエマって。



「だから俺は俺のやり方でコツコツやってたんだよ。そしたらお前が来て、ちょっと狂った」


「ならこれあげるよ」


「───…これ、」



手にしていた1つのネックレスを渡した。


それはいつかに俺が容赦なく千切った四つ葉のクローバー。

チェーンはバラバラ、クローバーも欠けてしまったはずだけど、欠片をできる限り集めて持っていた。



「接着剤で修復してみたり修理屋に頼んだりして、なんとか原型には戻してる。…悪かった本当に」


「……まさか4つ目がお前だとは」


「え?」