「来月だってね、なんか恒例の度胸試し?
ってイベント」
「…あぁ」
「もちろんお前はアリサとで俺はエマと回るから」
「……」
なに、その目。
なんだよその納得してない目は。
当たり前のことを言ったまでだよ俺。
だってお前はアリサの執事で、俺はエマの執事なんだから、一応。
「…俺のほうが好きだ」
「……は?」
「俺なんか9歳から好きだ」
なにを急に言ってきてんだよこいつは。
俺の父ちゃんのほうがすげーし、いやいや俺の父ちゃんのほうが、なんて言い合う小学生かよ。
「ってのは本人が起きてるときに言わなきゃ意味ないだろ、ヘタレ」
「…うるせえ、言えたら言ってる」
あんたも俺と同じくらいすっごい不器用ってことか。
それとも執事とお嬢様の正しい関係性を守ろうとしているのか。
さすがはSランク執事だ、すごいすごい。
「ならそこに関しては俺の勝ちってことだ」
「…どういう意味だ」
「俺は何回も伝えてる。好きだ惚れてるって」
それで行動でも伝えてる。
御曹司としてやらなきゃいけないことだっていっぱいあるのに、それ先延ばしてまでも惚れた子の執事やってるなんて。
それってかなりすごいことだから。



