乱暴な一面は、わたしの意思を聞くよりも先に頬にちゅっと合わせてきた。
やっぱり全然ちがう…ぜんぜん嫌じゃない。
「ふふっ、…えへへ」
「…喜んでるのですかお嬢様」
「うんっ。ハヤセありがとう」
「……なんのありがとうだよ」
ねぇハヤセ。
わたし、どんなハヤセも大好きだよ。
「ハヤセ、あのね…、」
「…なんでしょう」
「ここ、…さ、さわって…?」
そっと掴んだ手をニーハイから覗く太腿に持ってゆく。
ハヤセと同じくらいわたしだって驚いてるけど、消毒が必要なの。
「…もう1回です」
この人は言わせるのが好きらしい。
一瞬うろたえていた表情が、うってかわって熱のこもった目に改まった。
「触って、おねがいっ」
「…俺に触って欲しいんですか」
「うんっ。ハヤセじゃなきゃ嫌…」
ひんやりしていると思ったら、考えられないくらい熱い手だった。
触れるか触れないか微妙なラインを攻めてくる。
「あ…っ、」
そしたら今度は外側から内側を流暢にふっくりと触れて。
嫌じゃない、ぜんぜん嫌じゃない…。
むしろもっと触ってって、思っちゃう。
「も、もういっかいっ」
「……生殺しじゃねえか」
「えっ」
「いえ、なんでもありません」
身体だけじゃない。
たったそれだけで、わたしの心の消毒までもが無事に完了された。
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