俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





わたしが嫌いな目。

これだったのかな、ハヤセが前に言っていたことって。


男はわたしが思ってるよりずっとずっと危ない生き物だって……。



「はなして……っ、帰って、もうどっか行って…っ!」


「はいはい、おいで」



こんな状態だからこそ、この男の思う壺にしかなっていない。

ポンポンと今度はあやすように抱きしめられる、優しくなんかない腕の中で。


だけどすぐに逃れたくてぐいっと胸を押した。



「あれ?こーすると女ってのは大体泣き止むんだけど」



なにそれ…。
女をなんだと思ってるの。

人間とすら思っていないんじゃないの……?


わたし…こんな男のお嫁さんになるの…?

嫌だ、そんなの絶対に絶対に嫌だ。



「ほら、もっと来なよお嬢様。泣いてる女を無理やり犯すような鬼じゃないから俺」



お嬢様って言葉だって許せるのは1人だけだ。

そう呼んで欲しいのはあなたじゃない、こんなやつじゃない。

呼ばれて嬉しいのは、この金髪下衆男じゃなくて。



「やだ……っ!!離してっ!やだぁっ!」


「うわ、すっごい嫌われてんね俺」