「いえ、俺はエマお嬢様の専属執事ですから。そういうわけにはいきません」
「そのお嬢様の未来の旦那なんだけど俺。どっちが上か分かるだろ?なぁSランク」
うわぁ……すっごい挑発してる…。
ハヤセ頑張れ、負けないで。
「ならここはエマお嬢様に選んでいただきましょう。それなら異論はないですね?」
「あー、まぁそれなら。わんころはどっちと寝たい?」
「ハヤセ!!!」
それはもう即答だった。即答をした。
満足気な執事に笑いかけて、わたしは立ち上がってハヤセの隣へ向かおうとした───けど。
「わぁっ…!」
ぐいっと腕が引かれて、腰に回された手。
───ちゅっ。
「っ…!」
ほっぺに柔らかい感触。
キス、された……?
ハヤセじゃない人に…された……?
「な、な、なにしてんの……!?やめてっ!最悪…っ!汚れた……っ」
「って言いながら顔真っ赤だけど?」
「そ、そんなことない……っ、」
「お前って処女?」
「なっ……!!」
なにを平然と聞いてきてるの……?
なにこの人…。
もう嫌だ、すっごい嫌だ……。



