「んー、やっぱりまだ躾の“し”の字もないね。まぁ逆に育て甲斐はありそうだけど」
……この人、わたしをペットか何かだと思ってるんだ。
どうしてお姉ちゃんはこんな人を選んだの…?いや、お姉ちゃんがこんな最低男を選ぶはずがない。
やっぱり政略結婚なんだ…。
わたしそーいうの、ぜんぜん知らなかった…。
「早乙女様、あまりエマお嬢様をいじめないでください」
「いじめるってか、試してんだよ」
「…試す?」
ハヤセの低い声に、唇の端を上げた金髪。
この男はわたしだけじゃなくハヤセの反応も楽しんでいるみたいだ…。
「そう、俺の女に相応しいかどうかをね。こんなわんころでもいずれ従順にさせるから俺は」
最悪だ……。
確実にわたしの未来は暗くて暗くてしょうがない。
「…エマお嬢様は今朝から熱っぽいんです。少し休ませてあげてください」
ここでハヤセの助け船。
ここにうまーく乗っかればいいのだ。
ぜったいお風呂なんかこいつと入らないっ!
「なら俺が看病するよ、一応こいつは未来の嫁だし。だから今日はもうお前は休んでいいよ」
それはなぜかハヤセへ向かった。
え、そーじゃない……。
それにわたしはハヤセと寝なきゃだめなのに。



