俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





………え。

泊まるって、寮って…。

もちろんわたしとハヤセが住む部屋じゃなく、別の部屋を借りるってことだよね…?



「あっ、ちょっと…!」



スタスタ去って行った自由な男。

一方でハヤセは感情を抑えるためか、自らを落ち着けるように深呼吸させていた。



「は、ハヤセ……ありがとう、」


「…なにがありがとうですか。すみませんエマお嬢様」



逆に何が「すみません」なの……?

あなたは執事としてあんなにも怒ってくれたのに。



「…なにもできなくて申し訳ございません」


「そんなことないよっ!格好よかったよハヤセ!」



静まり返っていた教室は賑やかさを取り戻して授業再開。


けれどハヤセはいつもの柔らかい顔は消えていて、その代わり笑いかけたわたしに泣きそうな顔で反応してくれる。

そういうつもりで言ったんじゃないんだよって伝えたいのになぁ…。



「は?なんで執事も一緒に食べてんだよ」



やっぱりこーなるの!?
やっぱり泊まるってわたしの部屋なの……!?

───と、ダイニングテーブルに座った3人での夕食はそれはもう地獄だった。