俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





「てかなんでお前だけショートパンツなんだよ」


「…オーダーメイド」


「その理由を聞いてんだよ俺は。まぁでもニーハイいいね、俺は嫌いじゃない」



わたしは嫌いだ。

お前なんか大嫌いだ、すっごいムカつくから。



「俺の名前、フルネームで知ってる?」


「…さおとめ、……いちろう、だっけ」


「ふざけんな誰だよ。───燐」



早乙女 燐(さおとめ りん)。


それがこいつの名前らしい。

確かハヤセと同じで、わたしより5歳年上だったような気がする……けど。



「エマお嬢様、」



と、ずっと静かだったハヤセがここで動いた。

そっとしゃがんでわたしの頬に手を重ねてくる執事は、どこかいつもの余裕は無さそうで。



「お怪我はありませんか?」


「ないけど痛かったっ」


「…早乙女様、」



そして低い声だ。

だけどそんなハヤセに怯えることなく「なに?」と、平然と返ってくる。



「もう少し優しくしてあげてください。あなたにとっても大切な女性のはずでしょう」


「執事の分際で生意気だねぇ。お前にそんなこと言われる筋合いないから」