ここって花嫁を育てる高校だった…。

だからそんなにもクラスメイトは気合いが入っていたのかと、そして参観に来ている男たちは未来の旦那様方なのだと。


……まさかそんな行事が今日あったとは。

でもどうしてハヤセは教えてくれなかったんだろう…?



「ねぇ見て!早乙女様よっ!やっぱり格好いい~!」


「きゃーーっ、こっち見たぁっ」



やっぱりお嬢様とて所詮は16歳の女の子なんだなって。

女子高だからこそ、男の人が来るとテンション爆上がりらしい。


……ん?さおとめ……?

早乙女って………お姉ちゃんの婚約者だった人……?

それで今は一応はわたしの婚約者の名前だった気が……。



「柊 エマって、どいつ?」



………なんか呼ばれた。
なんかわたしの名前が呼ばれた。

思わず無視をしてしまった…。


助けを求めるように隣に立つ執事を見つめてみれば、わたしを隠すように少し位置を変えたハヤセ。



「柊さんでしたらそちらに、」



教えちゃったよ先生が……。

普通ならハヤセが言う役目だろうけど、なぜかハヤセはそんなことしなかった。


けれど容赦なく近づいてくる足音。