「ねぇハヤセ?」
「はい?」
「ハヤセは……どっちが本物なの…?」
今の優しくて紳士なほう?
それともさっきの俺様でちょっとだけ怖いほう…?
「さぁ、どちらでしょうね?」
言葉は丁寧なのに、その笑みのいじわる加減はさっきと同じだ。
「それがいちばん困るのっ!」
「どうぞ困ってください。言ったでしょう?俺はエマお嬢様のそういう顔が大好きだって」
「なっ!ひどいよそれ…!」
……あ、分かっちゃったかも。
あなたはSランク執事だとしても、ただのSランク執事なんかじゃない。
言うなれば、(ド)Sランク執事だ……。
「四つ葉のクローバー?」
「はい。エマお嬢様と一緒に探したいんです」
「いいよ!わたし得意っ!」
やっぱり落ち着かなかったのはハヤセもだったらしく、いつものわたしたちに戻った今。
あれから仲良くおにぎりを食べたあとは、芝生のある広場に向かって。
「クローバーは年中あるからいいよねぇ。───あ!」
「え、もう見つけましたか?」
「ううんっ!ハヤセっ!」



