俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





手にしたおにぎりを落としそうになった。

そしておにぎりの味すら分からなくなるくらい、ショックを受けているわたし。


嫌い……だと。


もちろん好きとは違うんだろうなって思ってたけど、ハヤセだけはそう見ないとも安心してて…。



「……ご、ごめん…、」



やばい、泣きそうだ。
泣いちゃいそうだ、エマ16歳は。

5歳年上の男に泣かされちゃうっぽい…。



「ってことを伝えたときのお前の顔が好きだ」


「…………へ…?」


「ただ、自分を卑下して納得してるところが俺は嫌いなんだ。だから周りだって調子に乗る。
お前は今のままでいいって俺はずっと言ってるだろ」



いや、ちょっと待って。
ちがう、ちがうの。

今あなたとんでもない言葉をサラッと落としたんだよ。


それにやっぱり乱暴な口調、ぜんぜん慣れないぃぃぃ…っ。



「でも…わたしのこと、嫌いなんだよね……?執事…やめちゃう……?」


「やめて欲しくない?」


「うん…」


「ん?ちゃんと言えよ」



なにこれ、なにそれ…。

いじわるだ、前のファミレスのときだってそう。こうして言わせてくる。