俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





どうしてそんなことを言われたのかは到着してから理解した。


そこは大きな自然公園。

池がたくさんあって、個々に広場もあって、少し急な斜面だって。

歩けば景色がひとつひとつ変わってゆく公園だ。



「まずは俺とサッカー。してくれるか」



広場を指差して、手にしたサッカーボールをトンっと足で遊んだハヤセ。

学校では禁止されちゃってるから、だからこそなんだろうなぁ。


優しい人だなぁーーーと、Sランクっていうよりは彼の人柄だ。



「はいっ!もちろんですハヤセ様!」


「エマ、敬語やめてほしい。あと様呼びも。俺が落ち着かねえから」


「えっ、…わかった!」



でもそれはわたしの台詞だ。
タメ口が逆に落ち着かないよ……ハヤセぇ。

ただの格好いいお兄さんだもん…。



「いくぞーーっ!」


「エマ、つま先じゃなくて足の腹で蹴ろよ」


「うんっ!見ててっ」



言われたとおりにすると、そのとおりになってくれる。

不思議な中でもハヤセ以上に楽しんでしまってるのはやっぱりわたしで。