俺の言うとおりにしてください、お嬢様。





「…やっぱりこっちのジャムがすでに入ってるパンがオススメかもしれなくて、」


「いえ、お嬢様のがいいです」



笑ってくれてる…。

なんかもう、その優しさでご飯3杯は食べちゃえそうだ。


こんなことさえできない破壊神、確実に花嫁とかのレベルじゃないってわたし…。



「美味しいです、すごく。今まで食べたパンで一番ですね」


「それはなーーいっ!あっ、それはないですよ!というかハヤセ様、敬語いらないから!あっ、いりませんから…!」



なんかもうグッダグダ…。

もっとシミュレーションしておくんだった、ぶつけ本番みたいになってる…。



「もう素で話してください今日はっ!」


「ではお言葉に甘えて。…エマ、今日は行きたいところがあるんだ」


「っ…」



さすがにドキッとした。
これはヤバい、こんなのは予想外だ…。

名前だって呼び捨てされちゃうなんて…。


これ、わたしの心臓の心配のほうが大きくなってきた…。



「…ここ、ですか?」


「そう。行こう」



動きやすい格好と言われたから、走れる私服できちゃって。

そんな彼もまた、初めて見たジャージ素材の私服姿。

それはもうイケメンだということは言わなくても伝わる。