あおい君と同じ高校に入るまでは、舞花は調子がいいときは毎日のようにあおい君に会いに行った。

 しかし、体調が悪化したり、通院だけでなく入院することも度々あって、そんなときは、あおい君が毎日のように舞花のもとを訪れた。

 僕たちが渡した定期を使って。 

 初めて定期を買った日以来、僕たちはその更新日が来るたびに、二人分の定期代を舞花に渡した。

 高校に入ってからは、あおい君の分の定期を買うことはなかったけど、舞花の体調が優れず入院を余儀なくされた時は、その期間に合わせて定期券や回数券を買ってあおい君に渡していた。

 引っ越しはできても、病院だけは変えられなかった。

 医療が発展している大きな病院は、都市開発が進んでいる大きな町にしかない。

 もちろんあおい君は遠慮していたけど、僕は強引に彼に渡した。

 あおい君に気を遣っていたわけじゃない。

 ただ僕は、舞花の笑顔が見たかった。

 あの笑顔を引き出せるのは、悔しいけど、あおい君だけだったから。