時にはうちに友達が来ることもあった。

 一度見ただけで、「舞花の友達」というのがよく伝わる子ばかりだった。

 舞花と服装や髪型だけでなく、雰囲気もどことなく似ている。

 気の合う友達ということが、はっきりとわかる。

 ファッション誌の影響か、それとも友達の影響か、服装もまた少しずつ変化していった。

 子どもっぽいキャラクターの付いた服は着なくなった。

 少し大人びて、大人のこちらもどきっとしてしまうようなデザインや素材の服を選んで着るようになった。

 休日限定でアクセサリーをつけたりマニキュアを塗ったりもする。

 少しだけリップをつけたりして本格的にオシャレを楽しんでいた。

 使っている化粧品は歩美が使うような本格的なものではないにしろ、おもちゃのようなアクセサリーや、すぐにはがせるマニキュアとは比べ物にならないくらい、デザインも機能も本物に近かった。

 化粧の仕方なんかも、動画や雑誌で熱心に研究していた。

 いつもふたつ結びにしていた髪も、自分で髪形を工夫していた。

 難しい髪形なら歩美に手伝ってもらっていた。

 舞花の髪に触れる歩美の手も表情も柔らかく、楽しそうだった。

 背中まで伸びた髪はさらさらで艶があって、それを大切そうに櫛でといた。

 家族全員同じシャンプーを使っていたのに、いつの間にか舞花のお気に入りのシャンプーが風呂場に増えていた。

 そして少し前までは風呂上がりでも髪を濡らしっぱなしでテレビを優先していたのが、何分もかけてドライヤーでふんわりと仕上げるようになった。

 そして良い匂いをさせながら、テレビを見る僕のそばを通りすぎていく。

 その姿はまるで自分の子どもではないような気がしてくる。

 テレビの中から出てきた、手の届かない可憐な女の子のように思えた。