* 【番外】 陽翔の事情 *
「んぁっ……んっ……はぁっ……んっ陽翔」
「千夏さん……んっ……千夏っ……」
ベッドルームに2人の吐息が混ざり合う。
何度抱いても止まることの出来ない激情に、陽翔は戸惑っていた。
俺は思春期のガキか……。
そう思っても止めることが出来ない。
目の前で可愛らしく喘ぐ千夏から目を逸らすことが出来ない。
可愛い。
愛おしい。
好きだ。
愛してる。
そんな言葉を何度吐き出しても足りない。
足りない。
欲しい。欲しい。この人が……。この人のすべてが欲しい。
こんなに一人の人に執着するのは初めてだった。
誰と付き合っても長続きしなかったのに、千夏だけは違う。陽翔にとって、それは驚きだった。
「あっ……あっ……んぁ……」
可愛い声が俺を翻弄し、惑わせる。
この人は、天使か悪魔か?
どちらでも良い。
この人が俺の側にいてくれるのなら悪魔でもかまわない。
「千夏……くっ……愛してる……」
陽翔は全てを吐き出し、力なく千夏の上に覆いかぶさった。陽翔の腕の中で、息を整える千夏を愛おしげに抱きしめた陽翔は、千夏の額に唇を落とした。
「千夏さん無理をさせてごめんね。大丈夫?」
心配そうに尋ねると、千夏はそっと閉じていた目を開いた。
「大丈夫。陽翔大好きよ」
俺の首に腕を回し抱きついてくる千夏に身体がまた反応してしまう。
「はっ……陽翔?!ダメ……もうダメだからね、待って」
「ごめん千夏さん……千夏さんが可愛すぎるのがいけない」
今日も千夏は陽翔のよって抱き潰され、またもベッドから出られないという休日を過ごすのだった。