「うわー。ごめん千夏さん。俺かっこ悪いよな。千夏さんの事となると俺、余裕無くなるみたいだ」

 頭を抱える陽翔を千夏は抱き寄せ、頭を撫でた。

「格好悪くなんてないわよ。嫉妬してくれたんでしょう?ちょっと……ううん。すっごく嬉しかった」

「それ、ホント?幻滅してない?」

「うん。幻滅なんてしない。それにしても陽翔は磯田くんの秘密を知っていると思ってた」

「磯田くんとはプライベートの話はあんまり……でも良かった。磯田くんと千夏さんて、すごく仲が良いなって思ってたから、実は前から心配してたんだ」

「えっ……そうなの?私は陽翔の方が心配だったわよ。磯田くんに陽翔摂られちゃったらどうしようって」

 ホントにそうなのだ。

 実際、磯田の陽翔を見つめる視線に千夏は焦りを覚えることがあった。この陽翔の様子では磯田の視線に全く気づいていなかったようだけど……。


「それにしても、私がどれだけ陽翔のことを好きか、きみは分かってなさすぎる」

 頭を撫でられていた陽翔がキョトンとした顔でこちらを見上げてきた。

「陽翔がプロポーズしてくれた日に、私がどれだけ救われたか知らないでしょう。私をもう一人にしないって言ってくれて、離さないって言ってくれてすごく嬉しかったんだ」

 千夏は陽翔に自分の思いを気持ちを全てをぶつけた。

「ねえ、陽翔、私だって、陽翔のこと離さないから覚悟してね」

 千夏はそう言うと、陽翔のネクタイを掴んで引っ張り、その唇にキスをした。よろけながらも陽翔は千夏からのキスを受け止めると、可愛らしいチュッというリップ音が部屋に響く。

千夏からの可愛いキスに陽翔が嬉しそうに笑った。

「望むところです。千夏ありがとう。好きだよ。愛してる」

 その後、陽翔は千夏の身体にキスの雨を降らせた。やむことの無い雨に千夏はとろけたような顔で微笑み、陽翔の全てを受け入れた。

 その幸せの雨はしばらくやむことは無かった。