陽翔はこれまでの経緯を話し始めた。
「会長である俺の父が見合いの話を持ってきたことから話は始まるんだけど、見合い写真てさ、写真屋さんで摂ってもらったやつとかを持ってくるでしょ?でも千夏さんの写真はLサイズの普通の写真一枚でさ、ちょっと興味をもったんだよね。もしかしたらこの人は見合いに興味がないんじゃないかって……。親がかってに話を進めているだけじゃないかって。それなら話し合いたいなって。それから千夏さんの住所を聞いて仕事終わりに尋ねていったんだ」
「それがハウスキーパーとして来てくれた日?」
「そう。行ってみたら千夏さんが俺のことハウスキーパーと勘違いして……でも、千夏さんを知るチャンスかもって、それからいろいろ話してみたら千夏さんめちゃくちゃ可愛くて、俺のモノにしたいって思っちゃったんだ」
「えっ……じゃあ初めて家に来てくれたとき、陽翔のことハウスキーパーだって、私が勘違いしたせいでややこしくなった?」
「いや、ややこしくしたのは俺も一緒。ハウスキーパーしてたけど、千夏さんちっとも俺のこと男として見てくれてない気がしてさ、父に頼んで長期の休みをもらったんだ。それから秘書の磯田くんにも協力してもらって秘書になったんだ」
「うそ!磯田くんは陽翔が如月グループの社長だって知ってたの?!」
「そう言うことになるね。磯田くんにはホント迷惑かけちゃったよ」
そういえば磯田くん、入職してきた陽翔のことを話したときに、すごく仕事の出来る人材だって言っていたような?
そりゃそうよね。如月グループ社長なんだから。
そこで千夏はハッとした。
「まさか如月ホテルのアメニティの件も陽翔が裏で手を回した?」
「あっ、それは違うよ。千夏さんにバレたときに怒られるの嫌だからさ。ちょこっと話をしておいただけだよ。それぐらい許して」
可愛くウインクしてみせる陽翔に千夏は諦めたように息を吐いた。
ホントかなぁ?
ちょっと怪しいけど。