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 それから4時間後、時刻は21時。

あれから何だかんだで、如月ホテルの関係者と話をし、今後の話し合いをしたりしているうちに時刻は21時を過ぎていた。アメニティについても、もう一度話し合う必要がありそうだし……。如月ホテルに合うデザインボトルの変更や、ポーチをホテル限定のお洒落な物にしてアメニティを入れるのも良いかも……なんて色々考えていればあっという間に時間は過ぎていく。

 明日は土曜日で休みだからと少し頑張りすぎてしまった。

「ふぅー」

 千夏は息を吐ききり、パソコン業務で酷使した目頭を指で押さえた。その数秒後、凝り固まった背中の筋肉と肩をほぐすため、大きく伸びをした。

「終わったー」

 陽翔も「終わりましたねー」と、苦笑いをしている。

 もうこんな時間だ、飲みに行くのはまた今度だなと思ったその時だった。

「千夏さん今日これから家に行っても良いですか?」


 えっ……。

 ちょっと……家って……。


「俺、何か作るんで家で飲みません?」


 あっ、そう言うこと……。

 何か、ちょっと焦っちゃったじゃない。


「でも、陽翔くん今から作るんじゃ大変じゃない?」

「全然!!ご飯を作るのは趣味だから大丈夫です。もう疲れたし、家でゆっくりしたいでしょう?」

 まあ、そうなんだけど……。

 今日はお酒を飲みたい。そうなるとあの時のように酔って、陽翔くんを襲ってしまうかも……。

 それは非常にまずい。

 お酒を控えれば大丈夫だろうか?

 陽翔の美味しい料理を目の前にして、私にお酒を控える事なんて出来るのか? 



 う゛~ん。



 どうしようかと考えていると、陽翔が立ち上がり、早く早くと千夏の手を引いた。


 ちょっ……ちょっと……待ってよぉーー。