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 それから三日後。

「磯田くん、陽翔くんやったわよ!!如月ホテルとの契約が取れたわよ」

 嬉しそうにはしゃぐ千夏とは真逆に、磯田は眼鏡をクイッとあげながらクールに返事をした。

「そうですか。それは良かったですね」

 あまり感情を表に出さない磯田だが、口角が少し上がっているため喜んでいるのは明らかだ。

 その隣で陽翔は嬉しそうに千夏と共にはしゃいだ。

「わー。やりましたね。じゃあ、今日はお祝いに飲みにでも行きましょうか?」

「いいわね。そうしましょう」

 二人で盛り上がっていると、磯田が申し訳なさそうに眉を寄せた。

「盛り上がっているところ、申し訳ありまあせんが、私はすでに先約があるため行けません。お二人でどうぞお楽しみ下さい」

「えー。磯田くん付き合い悪い。でも、仕方ないわね」

 きっと磯田くんは前から付き合っている恋人の所に行くのだろう。

 うらやましい。

 磯田くんが行けないのでは日を改めた方が良いかしら?そんな事を考えていると、陽翔が嬉しそうな声を上げる。

「明日は休みだし、お祝いなんだから千夏さん二人で一緒に飲みましょうよ」

「そうね。そうしましょうか」

 本日、二人が飲みに行くことが決定した。