誰?


これを描いたのは、誰なの?


そう思い、教室にいるクラスメートたちを1人1人睨むように見ていく。


「この前の、見られてたんだよ」


と、桃子。


この前……。


美術室のテラスで、向日葵を起動させた時――。


私は下唇をかみ、黒板のイタズラ描きをけして行った。


桃子も、手伝ってくれた。


悔しいというか、悲しいというか……。


「古典的」


と、呟く。


もっと他にやり方はないの?


ネットに書き込んだらバレて、警察沙汰になるのが怖かったんだろうか?


だからって……黒板にラクガキって……。


そう思うと、なんだかおかしい。


思わずプッと笑ってしまった。


「泉?」


突然笑い出す私に驚いて、桃子は目を見開く。


「ごめん、なんでもない」


と、首を振ってみせる。


近未来的な『バーチャル彼氏』に対し、黒板にラクガキでのイヤガラセ。


これを描いた人はきっと、『バーチャル彼氏』を使いこなせないだろうな。