今まで会話らしい会話なんてできていなかった。


だから、こっちから質問しても答えてもらえるとは、思っていない。


だけど、さっきの声が胸に残って、こっちまで痛みを覚えた。


「寂しかった」


向日葵が、そう返事をした。


「うそ……」


信じられず、向日葵の顔をマジマジと見つめる。


今、会話したよね?


ちゃんと、成立したよね?


「向日葵は、寂しかったの? だから、あんな声を出したの?」


「僕は寂しかった」


向日葵――!!


私は嬉しくてたまらなくて、ウルウルと感動の涙を浮かべながら飛び跳ねて喜んだ。


できた!


できた!!


向日葵と会話ができた!!


信じられない。


たった数日で何もない、ゼロからのスタートで、ここまで成長するなんて!


私は嬉しくて楽しくて、その日は一日中、向日葵と会話をしていた――。