私は難しい顔で考える。

「男性って…」

神谷くんがソッと口を開く。

「婚約者…か?」

私はあからさまに目を見開いた。

な、なんで分かったの?

私は実際に声に出すことはなく、口をパクパクさせた。

「あ…そうなんだな…、好きか?」

「えっ…あ、うん!」

瑠斗さんのことはすき。

でもそれは恋愛の意味ではない。

愛と言っても敬愛ぐらい。


だって…私の中にはまだ…


私が黙っていて何かを勘違いしたのか神谷くんは私の頭に手を置いた。

………え?

「神…谷くん?」

私が驚いた顔で見ると少し照れたような顔で

「…小さい頃、よくしてあげただろ。」

そう言った。


…そうだったね。神谷くんは私が泣いているといつも頭を撫でて励ましてくれてたよね。

「ありがとう…でも…」

私はまだ神谷くんを信用し切れていない。

「あんまり…こういうことしない方がいいよ。ほら…好きな子にも勘違いされちゃうよ?」

私がそう言うとハッとした顔をしてすぐに手を引っ込めた。

「わ、悪い!ただ…癖で…」

神谷くんは慌ててそう言った。