今日は手を繋がないんだ。 「ん? 手、繋ぐ?」 「いやいやいや! 滅相もございません。無理です」 「ははっ、その割には俺の手をすげー見てなかったか? はい、俺の手」 ダンが笑いながら左手をヒラヒラさせながら差し出してきたけど、からかわれているような気がして、 「繋がないっ!」 そう返事するのが精いっぱい。 私の顔が真っ赤になったのを見たダンが、何も言わずにいてくれたことが救いだった。