意地っ張りな恋の話




やっと解放された耳に飛び込んできたのは佐倉の低い声。

威嚇するような声色に、珍しく佐倉が怒っているのだと気づいた。


「君、たしかこの前会った…」


「どうも。矢吹です」



飄々と名乗ったその声に反射的に振り向く。
案の定、後ろに立っていたのは絢くんだった。

涼しそうな顔をしているけど、こめかみに汗が伝っている。
心なしか息も切れてるような…。


「絢くん?何してんのこんなとこで」

「別に、祭り来ただけ。たまたま、柚璃見つけたから」

「…たまたま?」


また出た、佐倉の低い声。

なんでこんな怒ってんの?


さっき絢くんに何を言われたんだろう。

そう問いかけようとして口を開いた時、


「ちょ、じゅーーーん!!なんで急に走ってくんだよ!!」


ドタバタと大きな音を立てて現れたのは、髪を明るく染めた目の大きな男の子。

絢くんの、友達?



「てか誰?絢の友達?」

「そ。さっきたまたま見かけたから追いかけちまって」

「なるほどなぁ!凄い勢いで走ってくからなにかと思ったぁ」