「水族館、好き?」


私は今、学校の中庭でお昼ごはんを食べている。


隣には咲が居て、急にそんなことを聞いてきた。


「水族館?どうしたの、急に」


「あのね…」


咲には、夏木くんという彼氏がいる。


夏木くんは咲のことがめちゃくちゃ好きだし、咲も夏木くんのことが大好きだ。


まさに相思相愛、私の理想のカップルだ。


そんな二人が週末に付き合い始めて一年を迎える。


「一年の記念日に水族館に行くことになってたんだけど、家でお祝いデートすることにしたの」


そうニコニコして言う咲はとっても楽しそうだ。


でも、どうして家でデートすることになったんだろう……?


水族館でも楽しいと思うのに…。


私は理由が気になったので思い切って咲に尋ねた。


「どうして場所、変えたの?」


「そ、それは!


咲の顔が真っ赤になっている。


「夏木が家でイチャイチャしたいって」


指先を見ながらもじもじしている、咲。


それは、顔が真っ赤になるわけだ…。


「って、わたしのことはいいから」


そう言ってポケットから水族館のペアチケットを取り出して、私に渡してきた。


「風菜は、楓くんと一緒に水族館行ってきたら」


「そんなんじゃないし、楓くんとは何もない」 


私の顔が次は真っ赤になりそう。


楓くんに告白はされたけど……決して付き合ってるとかそんなのではない……。



「うっそだー?!あの感じ、絶対になんかあるよ!
ホントはどうなの?」



『私に話してごらんよ』と咲が肩をさすってくる。



「ホントに何もない!」


「ふーん。私は楓くんと何かあると思うけど聞かないであげる」


『何もない』と言い切る私に観念をしたのか、咲が諦めてくれた。


また、聞かれそうだけど……。


「とりあえず、水族館楽しんできて」


「そうだね。楽しんでくる!咲、ありがとう」


咲には楓くんとはなにもないし、水族館に一緒に行かないって言ったけど、誘ってみようかな……。


きっと楓くんと行ったら楽しいし、沢山楓くんのこと知れそうだから。