恋の誘導尋問~恋に不器用な先輩に捕われたい~

「それって――」

「笑美が喜ぶご飯を用意しているかも?」

 こんなことを彼氏に言われて、喜ばない彼女はいない。飲みに行くかと言われても、迷うことなく後者を選択する。

「俊哉さんのお家に行きたいです!」

 昨日作ってくれたから揚げがかなり美味しかったこともあり、思いっきり食いついてしまった。

(今日はいったい、なにを作ってくれるのかなぁ。きっと、私が好きな食べ物のような気がするけれど――)

「行きたいって言ってくれるのは嬉しいんだが、笑美はその意味全然わかってない。その顔はそうだな、俺がなにを作るのか、頭の中で迷走中といったところだろう?」

「意味ですか?」

 私の思考を、寸分狂いなく読み取ってる俊哉さんに驚きしかない。瞳を何度も瞬きしつつ、それでも一生懸命に考えてみた。しかしながら頭の中が花より団子状態になっているため、ピンとくるものがまったく思い浮かばない状態。

 考えすぎてうんうん唸る私を見ながら、俊哉さんが優しい口元に薄笑いを浮かべる。

「今日は金曜で、明日は会社が休み。お泊まりしても大丈夫な環境ということは?」

 私でもわかるヒントを告げるなり、メガネのフレームに触れながら顔をさらに寄せる俊哉さんに、頬が一気に熱くなった。

「あ、ぁあわわわっ!」

「ここで待っててやるから、泊まる用意してきたらどうだ?」

 艶っぽく目の前で微笑まれて、同じように笑うことなんてできない。心臓が口から飛び出しそうなくらいに、めちゃくちゃドキドキしている。

「そ、そそそそうですね。お泊まりするなら着替えとか、いろいろ用意しなきゃですし……」

(俊哉さんは、どんな下着が好みなんだろう。さりげなく聞いてみちゃう?)

「……パジャマはいらないからな」

 サラッとすごいことを言った俊哉さんに、下着についての質問はおろか、パジャマのことも聞けないまま、急ぎ足で自宅に帰った私。頬だけじゃなく、体まで熱くなってしまい、変な汗をかいてしまったのだった。