「佐々木先輩このままじゃ、まっつーがヤバいでしょ。それこそ元カノと同じ目に――」

「斎藤、落ち着け。千田課長はさぁねと言ったが、探すなとは言ってない」

 俺の低い声が、静まり返った廊下に妙に響き渡る。

「ほんとだ。いつもなら……」

 斎藤はハッとした顔で俺を見上げながら、言葉を飲み込む。

「ああ。邪魔をするな、首を突っ込むなと、こちら側の行動を制限することしか言わない千田課長が、あえてなにも言わなかった。だから俺は大手を振って、綾瀬川の家を探すことにする」

「私もお手伝いしたいけど、実は仕事がたてこんでいるんですよ」

「それは俺も同じだ。今日中に仕上げなければならない案件を抱えてる。それを見越して、千田課長はなにも言わなかったということさ。調べたくてもできないだろうって」

「キーッ! なんて性格の悪いヤツ! 上司じゃなかったら、思いっきりぶん殴ってる」

 両手に拳を作り、オーバーなリアクションで怒りを表した斎藤を宥めるべく、肩を叩いてやった。

「とにかく、なる早で仕事を片付けるのが先だ。昼休みを使ってでも、頑張ってやってやるさ」

「私、佐々木先輩のお昼ご飯買ってきます。遠慮なくリクエストしてください」

 こうして松尾を探すために、斎藤とタッグを組むことになった。松尾の無事を祈りながら、ふたりで仕事に勤しむ。

♡☆♡

 いつも作品をお読みくださりありがとうございます。読者さんからのリアクションなど、楽しんでいたり怖がったりしているのを垣間見ることができて、作者としても嬉しいです。
 さて危機一髪目前というところでお知らせです。佐々木目線と澄司目線を並行執筆しているわけですが、佐々木目線の進みが遅すぎて(ほら、元カノとの関係で、千田課長とバトった場面やらいろいろ書きましたし)本編に追いつけない現状をなんとかすべく、ちょっと本腰を入れて書こうと決めました。

 澄司目線の進みがいいだけに(なぜだ?変態だから?)佐々木パイセンに頑張ってもらいます。いろいろと!

 その間は本編をお休みしますが、佐々木目線をある程度毎日進めて、本編に追いつき次第ここを再開しますので、ちょっとだけお待ちくださいね。