恋の誘導尋問~恋に不器用な先輩に捕われたい~

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「オーバーな動きは、隙を作ることに繋がるんですよ」

 綾瀬川は鼻で笑いながら、見知らぬ男が振り下ろしたナイフを片腕で易々と受け止め、背後で倒れた彼女に視線を向けた。

「笑美さん気を失っちゃったのか。僕の勇姿を見せられなくて残念だなぁ」

「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇぞ!」

 彼女に気を取られて、腕の力が抜けたのを感じた弘明は、空いた手で綾瀬川のボディを殴りつける。それなりの力を拳に込めたハズなのに、砂を殴ったような手応えを感じ、まったく効いていないことを身をもって知った。

「笑美さんになら、喜んで痛めつけられてもいいんですけど、君のようなろくでなしでは、僕の相手にもなりません」

 綾瀬川が見知らぬ男を掴んだ腕をぱっと放したら、その反動でナイフを持つ弘明の手の動きが不安定になり、綾瀬川の頬を傷つけた。

「ありがとう。名誉のキズをつけてくれて♡」

「な、なんで礼なんか言うんだ?」

 弘明は両手でナイフを持ち直し、綾瀬川から地面に横たわっている彼女に狙いをつけた。注がれる視線でそのことを悟った綾瀬川は、さりげなく彼女の前に立ちつくす。

「弱いものいじめしかできない君に、笑美さんを傷つけることなんてさせません。僕の最愛の人に手を出すな!」

 弘明が動く前に綾瀬川が反撃し、腕を負傷しながらも取り押さえることに成功した。

「放しやがれ!」

「君がこの場で、笑美さんを殺しちゃったりしたら、僕を罵る貴重な人間がいなくなるでしょう。それはとても困るんです」

 楽しげに言い放ちつつ、柔道の絞め技で失神させる。その後自ら警察を呼び、彼女と一緒に病院に運ばれたのだった。

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 いつも閲覧ありがとうございます。内容がないよう!だけに、毎日しおりが剥がれていくことを目の当たりにして、号泣しながら執筆しております。

 書けば書くほどしおりが剥がれるなんて、なんてドMな作業!と思いながら書いてる最中に、if物語を思いつきました。ハッキリ言ってくだらない(そしてまたしおりが剥がれる)お話ですが、お暇な方は読んでくれると嬉しいです(・▽・)はじまりはじまり

♡☆♡☆

(題)低レベルな言い争いに佐々木が加わり、低スペックな争いに発展して、主人公が失神する話w

「やっと見つけた。置手紙を残して、出て行くなんて驚いたんだぞ。もう怖いことしないから、やり直そう?」

「笑美さんの元彼さんですか? 残念ですけど、今は僕と付き合っているので、復縁は無理です。諦めてください」

「綾瀬川なに言ってるんだ。松尾の彼氏は俺だ。勝手に彼氏ヅラするな」

「結局どっちが今彼なんだよ。そしてどうして笑美は、イケメンばかりに好かれてるんだ」

「イケメンばかりにって、元彼さんのその顔では、僕らの仲間に入れませんよ」

「松尾の元彼ヤバいな。さりげなく自分をイケメン呼ばわりするなんて、びっくりだ」

「いやいやいや、俺入ったつもりないし。それに俺は笑美と別れたわけじゃないからな。黙って笑美を寄越せ」

「元彼さん嫌われているというのに、お持ち帰りして、笑美さんになにをしようとしてるんですか。ちなみに僕が先に、お持ち帰りするんですよ。(ΦωΦ)フフフ…」

「綾瀬川のその顔、なんか意味深だな。元彼はアレだろ、松尾が別れたことをネタに罵りながら暴力する気だろ…」

「そんなことはもうしない。そこは優しく問いただす感じで、いろいろするつもりだって」

「ダメですよ。それは笑美さんが僕に対して、おこなう行為なんですから。ちなみに優しさは不要です。激しく叱責してほしい♡」

「おかしいだろ。お持ち帰りと言えば、アレしかないだろ。どう考えたってアレ一択だろ!」

「おまえたち、なに言ってんだ? 話が全然見えねぇんだけどよ」

「笑美さんに蔑んだ目で見られながら、罵られることを妄想しただけで、あーヤバい!」

「普通にナニをしようとした俺が、一番マトモに見える件」

「違うだろ、笑美と優しく話し合う俺が一番マトモだって」

「そんなこと言ってるくせに、笑美さんにちゃっかり暴力をふるうんですよね。いろいろするって言ってる時点でお察しです」

「別れているのに、こうして追いかけて来ること自体、ストーカーだろ。松尾の恐怖を考えろ」

「お、俺よりも、そこの外人の方がヤバいだろ。笑美に罵られたいなんて、普通じゃねぇって」

「綾瀬川の見た目が良すぎるだけに、気持ち悪さが倍増するな」

「僕よりも、佐々木さんの方が残念男子ですよね。会社の先輩に、元カノを寝盗られたっていうことの調べがついているんです。絶対に僕よりも下手なんですよ」

「あ~そりゃご愁傷さま。男としてないな」

「いいや、モラハラDVは松尾を傷つけることに繋がる。この中で一番最低なのは元彼のおまえだ!」

「ということで、僕が一番人畜無害決定ですね。笑美さん、一緒に帰りますよ」

「綾瀬川待てコラ! 変態のおまえに松尾は渡さない!」

「今彼だかなんだか知らないが、そこのメガネもダメに決まってるだろ。エッチが下手な男のせいで、笑美が不感症になったらどうするんだ?」

「……もう嫌だ。最低な男たちに翻弄されるなんて、お先真っ暗じゃないの」

「笑美!?」

「松尾っ!」

「笑美さーん、気を失う前に僕を叱って!」

 こうして男たちのバトルは倒れた主人公の取り合いに発展し、終わることがなかった。

(○・ω・)ノ----end-----