(――斎藤ちゃん、佐々木先輩をどんだけポンコツ呼ばわりしたんだろう? 結構遠慮なく、ズバズバものを言うからなぁ)
「佐々木先輩、大丈夫ですか?」
「ああ。千田課長の妨害の恐れはあるが、口うるさい斎藤のフォローがあるみたいだし、松尾がアイツにとられないように、いろいろ頑張ることにする」
げんなりした口調から一転した、艶っぽい声色の変化を、スマホからクリアに聞きとれてしまったゆえに、訊ねずにはいられない。
「いろいろ頑張るって、なにを頑張るんですか?」
「松尾のその感じ。内容がわかってて、わざと俺に聞いてるだろ?」
まるで耳元で語られているようで、妙に心がざわついてしまう。
「本当にわかりません!」
佐々木先輩とイチャつく感じで、お喋りすることができるなんて、全然思わなかった。澄司さんと違って気を遣わなくていいし、なにより自然と会話が弾む。何気ない会話なのに、すごく楽しい。
「俺としては一気に、松尾との距離を縮めたいんだけど?」
「ナニをして縮めるつもりなんですか。怖いなぁ」
「怖くない、大丈夫。優しくするから」
(優しくするって佐々木先輩ってば、本当にナニをする気なんだろう……)
「それ、会社でしないでくださいよ!」
「わかってる。斎藤に散々注意されたし……。それじゃあ、また明日」
会話が続きそうな感じだったのに不自然な口調で、唐突に電話を切られてしまった。おかげで返事をする間もない。
「また明日か……。電話を切ったばかりなのに、また話がしたいなんて、ワガママって思われるかな」
ブツブツ言いながら、佐々木先輩の番号をスマホにしっかり登録した。早く明日にならないかなぁと、意味なく微笑みながら――。
「佐々木先輩、大丈夫ですか?」
「ああ。千田課長の妨害の恐れはあるが、口うるさい斎藤のフォローがあるみたいだし、松尾がアイツにとられないように、いろいろ頑張ることにする」
げんなりした口調から一転した、艶っぽい声色の変化を、スマホからクリアに聞きとれてしまったゆえに、訊ねずにはいられない。
「いろいろ頑張るって、なにを頑張るんですか?」
「松尾のその感じ。内容がわかってて、わざと俺に聞いてるだろ?」
まるで耳元で語られているようで、妙に心がざわついてしまう。
「本当にわかりません!」
佐々木先輩とイチャつく感じで、お喋りすることができるなんて、全然思わなかった。澄司さんと違って気を遣わなくていいし、なにより自然と会話が弾む。何気ない会話なのに、すごく楽しい。
「俺としては一気に、松尾との距離を縮めたいんだけど?」
「ナニをして縮めるつもりなんですか。怖いなぁ」
「怖くない、大丈夫。優しくするから」
(優しくするって佐々木先輩ってば、本当にナニをする気なんだろう……)
「それ、会社でしないでくださいよ!」
「わかってる。斎藤に散々注意されたし……。それじゃあ、また明日」
会話が続きそうな感じだったのに不自然な口調で、唐突に電話を切られてしまった。おかげで返事をする間もない。
「また明日か……。電話を切ったばかりなのに、また話がしたいなんて、ワガママって思われるかな」
ブツブツ言いながら、佐々木先輩の番号をスマホにしっかり登録した。早く明日にならないかなぁと、意味なく微笑みながら――。



