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今日一日いろんなことがあったせいと、疲労を抱えたメンタルのまま、澄司さんの相手をしたことでさらに疲れ果て、自宅マンションの扉を閉めた瞬間、玄関だというのにその場に崩れ落ちてしまった。
「疲れた疲れた~! もうなにもしたくないよ……」
誰もいないことをいいことに、ひとしきり愚痴を吐きまくってから、やっと家の中に入る。肩にかけていたバッグをいつもの場所に置いて、室内着に着替えようとしたとき、普段は鳴らないスマホが私を呼んだ。
「珍しい、誰からだろ?」
ひとりごとを呟いてディスプレイを見たら、斎藤ちゃんからだった。
「もしもし斎藤ちゃん、今日は先に帰ってごめんね」
明日の会議の資料作りをふたりでやる予定だったのに、千田課長の命令で帰ることになってしまい、ひとりで準備をさせてしまった手前、開口一番に謝った。
『気にしないで。上司命令を優先しなきゃならないまっつーのほうが、私よりも大変だったでしょ?』
自分を気遣ってくれる友人の優しい言葉が、疲れた体に染み渡る。目尻に涙が浮かびそうになるくらいに。
「会社の真ん前で澄司さんが待っていて、車で送りますって言われたんだけど、すぐに断ったんだ。あんな感じで待たれたら、ほかの社員の目も気になっちゃうよ」
『断って大丈夫なの? あとから千田課長に文句を言われるんじゃない?』
「そうならないように、澄司さんが先手を打ってくれた。車で帰るよりも、徒歩と電車で帰ったほうが、一緒にいられる時間が長くてラッキーだって」
『さすが! イケてる男は、言うことがひと味違うねぇ』
斎藤ちゃんのセリフで、澄司さんとさっきまで一緒にいたことを思い出す。
今日一日いろんなことがあったせいと、疲労を抱えたメンタルのまま、澄司さんの相手をしたことでさらに疲れ果て、自宅マンションの扉を閉めた瞬間、玄関だというのにその場に崩れ落ちてしまった。
「疲れた疲れた~! もうなにもしたくないよ……」
誰もいないことをいいことに、ひとしきり愚痴を吐きまくってから、やっと家の中に入る。肩にかけていたバッグをいつもの場所に置いて、室内着に着替えようとしたとき、普段は鳴らないスマホが私を呼んだ。
「珍しい、誰からだろ?」
ひとりごとを呟いてディスプレイを見たら、斎藤ちゃんからだった。
「もしもし斎藤ちゃん、今日は先に帰ってごめんね」
明日の会議の資料作りをふたりでやる予定だったのに、千田課長の命令で帰ることになってしまい、ひとりで準備をさせてしまった手前、開口一番に謝った。
『気にしないで。上司命令を優先しなきゃならないまっつーのほうが、私よりも大変だったでしょ?』
自分を気遣ってくれる友人の優しい言葉が、疲れた体に染み渡る。目尻に涙が浮かびそうになるくらいに。
「会社の真ん前で澄司さんが待っていて、車で送りますって言われたんだけど、すぐに断ったんだ。あんな感じで待たれたら、ほかの社員の目も気になっちゃうよ」
『断って大丈夫なの? あとから千田課長に文句を言われるんじゃない?』
「そうならないように、澄司さんが先手を打ってくれた。車で帰るよりも、徒歩と電車で帰ったほうが、一緒にいられる時間が長くてラッキーだって」
『さすが! イケてる男は、言うことがひと味違うねぇ』
斎藤ちゃんのセリフで、澄司さんとさっきまで一緒にいたことを思い出す。



