光の下で君に願いを

ツタエタイ


朝起きるともう家には誰もいない。
まだ5時。
親が働きずめな私は行ってらっしゃいを言われることを望めない。
中3の私。
私を地獄にするのはこの檻だ。
「おはよー」
「笑毬〜おはよぉ〜!」
「おお!おはよー!」
「橋爪ー昨日の件だが……」
「あ、分かりました!」
「えまりっちー今日暇ー?」
「今日は、ごめん!先約が入ってて…」
「日直日記なんだけどさ、……」
「あぁ、書いとくよ!」
「さっき音楽んせんせ、来てたよー」
「あ、ほんと?ありがと!」
「文化祭の事だが、準備が……」
「次の土曜にでも集まりましょうか?」
「えーまりっ!今日どーする??」
「今日は、ショッピングでもしよっか!」
顔に笑顔を貼っている私。それを誰も疑わない。それ故にクラス、いや学年の人気者になってしまっている。先生からの信頼も厚く、何でもかんでも私にいってくる。正直疲れる。
「ウルサイ」
この一言をみんなにいえたらどんなに幸せものだろうか。その願望は実ることはないと知っている。どうして全部私に問うのか、私に任せるのか、その答えはただ1つ。私が

「イイ子」

になってしまったからだ。
なりたくてなった訳では無いのに。
望んでなんかいないのに。
なんで。
なんで?
なんで!
なんで、
私は「 」だ。
そんなこと分かっていた。ずっと前から知っていた。だけど……
こんなのあんまりだ。
私は現実から逃げているようだ。

今日の放課後は、なんということだ。生徒総会。
私は生徒会の嫌ながら会長な為、毎回の話し合いに出なくてはならない。
しかし、これは不幸中ノ幸イというものか。
今日の放課後、クラスメイトの愛萌とショッピングに行く予定だった。別に行きたくはないが誘われたからには行くのがエマりだ。行くことになっていた。まあ、委員会なら愛萌も許してくれるだろう。
「愛萌ー?」
「どーしたの?」
「今日、生徒総会入っちゃって放課後行けないかもー!(。ノωノ)ごめんね」
「そっかあ〜まあ、委員会だし、仕方ないね!また、今度にしよっか!」
「ほんとにごめんねー!」
「平気平気!頑張ってね!!!!」
「ありがとぉー!」



「あ、笑毬先輩!」
「お!菜々美!やっほー!」
「こんにちはです!」
「華香ちゃんに結笑ちゃん!生徒会なんだ!」
「「はいっ!」」
「えと、橋爪先輩に憧れて入りました!」
「ふふっ、ありがとう。」

「あ、笑毬…さん?であってるよね?」
「え?」
「俺、惑星拓輝。今年から生徒会の中3。
あ、と、転入生。」
惑星さん?聞いたことがないと思ったら転入生か、それにしても転入生で生徒会なんて勇気があるな。
「惑星くんか!よろしくねー♪(*≧∀≦)」
また笑顔を貼る。
「会長なんだよな?」
なんで?そうだけど。
「え、うん?」
惑星くんの顔が真面目な顔になった。
なんか変だったかな?
「そうか。人気者と聞いている。」
なに?(笑)急に、
「え、あ、ありがとう?」
褒めても何もならないし、
そんなことを考えていると
「笑毬先輩っ。あの人って噂の惑星先輩ですか??もしかして笑毬先輩付き合ってたりとか…」
華香が、小声で惑星くんに聞こえないように聞いてきた。
「え?してないしてない笑、それよりウワサって?」
「え、知らないんですか!?」
知らないんですかって失礼な。噂にもなってない。
「惑星先輩って東京のDIAMONDRAINBOWってグループのセンターなんですよ!?カッコイーですよね〜てか、なんで、この学校転入してきたんでしょうね?わざわざ…」
「…DIAMOND RAINBOW?」
「はい!確かそうだったと思います!」
「そんなグループあるの?」
そんなグループ聞いたことない。
「はい!調べてみてください!」
随分と上からだな。
「えーと…DIAM…RAINB…W…と。え、ないよ?そんなグループ。」
「え!けど見てください!ほら?ここです!」
…え…
「ほんとだ…」
どういうことだろうか、
「何話してるんだ?」
「あ、いや、なんでもないよ!ごめんね!」
なんだったんだろう?
「?あぁ。」
「あ、もう始まるね!じゃあ、行ってくるね!」
今日は、生徒総会といって、生徒会、学級役員、部長、など、多くの人が集まる中で、生徒会長(私)が進行をしながら学校の決め事を決めていくというものだ。
「自己紹介から、始めさせていただきます。本日司会を務めさせていただきます、会長の3-1、橋爪笑毬です。」
「副会長の小巴祐壱です。3-4です。」
「では、その他方々、時間の都合上自己紹介は省略させていただきます。詳しくはお手元の冊子をご覧下さい。」


「では、先生方に司会を交替させていただきます。」
はあ、やっと半分。どうせみんな聞いてないような総会なのに。
さっきの話が頭から離れない。どういうこと?惑星くんがアイドルなんて、知らなかったし噂も立たなかった。かっこいいって言ってる人は山程いたけど、そんな噂のうの字もなかった。よく分からない。根拠の無い混乱は嫌いだ。これだから…
「では、会長に交替させていただきます。」
あ、やば、何ページだっけ、
…笑毬さん、5、5、
5!
「えーと、では、ここからは各部活動の部長様方から部費、生徒会の会計から全予算と出費。お願いします。」
危な。ギリだったわーてか、助けてくれたの誰だろ?男子だったと思うな。今いるの
は…惑星くん、小巴くんか、どっちだろ、


「では、これで第1回生徒総会を終わりにします。」
やっと終わった…校長先生ー話長い…
あ、そういえば…
「あの、さっきどっちか助けてくれたよね?」
「あ、それ俺。分かんなそうにあたふたしてたから。」
「惑星くんだったんだ!ありがとう!」
「いや、特に大したことじゃあないよ。」
「笑毬先輩!!凄かったです!私も頑張ります!」
「ありがとう笑笑」
「あ、華香、部活行けば??」
「わ!ほんとだ!ありがとうございますっお先に失礼いたします!」
「お疲れ様〜」
「よし、うちらも帰ろっかっ……って、惑星くんしかいないじゃんw」
「みんな帰ったよ笑笑」
「じゃあ、帰ろっか!」
「あぁ、」
「…」
「…」
何を話したらいいか分からない。
何この沈黙。
「なあ…」
「ふぇへえ!?あ、ごめん…何?」
「あ、いやその」
「うん?」
「大丈夫…か??」
「え?…何が?」
「あ、いや、大丈夫、なんでもない。」
「え??うん。」
「…」
「…あ、うちこっちだから、またね??」
「送る。どっち?右?」
「いや、大丈夫だよ!別に…」
「暗いし危ないだろ?送る。」
「ほんとに平気だよ?それに惑星くん反対側でしょ?大変だし…」
「…」
「あ、ちょ、惑星くん!」
私が許可を出す前にツカツカと歩いていってしまった。
「行くぞ。」
「え〜?あ、そういえば、惑星くんってなんで生徒会入ったの?」
「何となく」
「え」
「他に入りたいのがなかったから」
「内心が上がるから」
「とか、」
「そうなんだ…」
「橋爪は?」
「え、私?んーと、人前に立ってリードしてくってことが好きだったからかなーあとは、生徒会っていう響きがいいから?」
「ははっっ!」
そうすると惑星くんは大笑いをした。
まるでスコールのように。いきなり大きく。
「そんなに?」
「ははっ!うん!超面白い。そんな人だったんだ。」
「なんか、残念がられてるみたい」
「そんなことは無い。ただ真面目キャラかと思ってたから。」
「そんなふうに見えてた?」
「うん。」
「そっか。なんか残念。」
「残念?」
「うん。いい子、演じてきた私にとって真面目って言葉あんまりしっくり来ない。」
「いい子を演じてたんだ。」
そこで気づいた。
あ…

やばい、バラしちゃった、口が滑った。
「あ、いや、」
どうしよう。そんな人だったんだって思われる。バラされる。やばい。

「別にいいんじゃん?」


え…
そんな言葉をこんな私にかけてくれた。いい子を演じていたことなんかうんとも言わずへぇってだけ。
こんな、私に。

「え?」

「だって橋爪はちゃんとやってんじゃん。
周りの評価集めだって不格好だって、全部やってんじゃん。こなしてんじゃん。それってすごいことだと思う。ましてや好きなことじゃないのになんて。俺だったら普通出来ないない。


俺はー



そのままでいいと思う




私にはありえないと思っていた
本当の私を認めてくれる人。
どれだけ話しかけられても、笑顔でいてくれても、仲間に入れてもらえても、湧いてこなかった感情。

ありがとう。

そう君に伝えられたら良かったのに。