グレーな彼女と僕のブルー

「頭の打ちどころが悪くて、今も植物状態。最悪でしょ? 直接法で裁かれはしなかったけど、あたしは前科もちなんだよ……」

「……いや、でも、それはっ」

「知ってて助けなかったんだから、同じことだよ。
 あたしが唯一背いたのはその一度だけなんだけど……その事故がきっかけで何もかも嫌になった。多分罪悪感もあったんだと思う。
 家から一歩も出ない生活を何ヶ月も続けたの。外に出なければ影を視ることもないと思って……。けど、気付いたときには手遅れになってた。担任から留年だって言われたの」

 そっか……それで。

 僕は眉を寄せて俯いた。家から一歩も出ないということは引きこもっていたということだろう。その間、きっと紗代子叔母さんは心配しただろうし、紗里はストレスを抱えていたから叔母さんに反抗したかもしれない。現に、迷惑をかけたと言っていた。

「担任は通信制の高校に編入することもできるって勧めてくれたわ。元同級生が先輩になるのも、一学年下の子と勉強しなければいけないのも、あとあとストレスになって、また不登校になるかもしれないからって」

「……うん」

「けど、あたしは留年を選んだ。どうしてか分かる?」

「……いや。まったく想像もつかない」

「ママが美弥子さんから聞いた話で……恭ちゃんが同じ高校に通うって分かったからだよ」

 ……え。