グレーな彼女と僕のブルー

「うん。今でこそこれが普通だけど……最初は行動を強制されるのにストレスを感じていたから。
 それに、目の色が変わり始めたころ、まだカラコンの準備もしていなくて。他人(ひと)に見られるのが嫌で眼帯をして登校していたの。その時にちょっとやな奴に眼帯を外されて、目を見られた。それで気持ち悪がられて……嫌がらせをされるようになった。
 直接的な暴力はなかったけど、無視とか悪口とかが続いて」

 聞きながら無言になった。その嫌な奴というのは、この前下駄箱の前で紗里を悪く言っていたあの三人組じゃないかと思った。

「そんな時、ある女子の身の周りでチラチラと影が動いて視えたの。影はあたしが動く映像なんだけど、二階の階段わきに立てかけて置いてあった箒を片付ける内容だった。
 あの準備を怠らなければ、その子は階段から落ちなかった」

「……え。それは……敢えてやらなかったってこと?」

「そうだよ。右目の影にただ従うなんて、うんざりしていたし。その子が嫌がらせのリーダーで、正直よく思っていなかったから」

「それで。その女子は……?」

 階段から落ちてどうなったのか、気になって尋ねていた。