「捻挫ね」

 ……やっぱりか。

「骨に異常は無さそうだけど、ちゃんと病院を受診してね。今日のところは湿布を貼っておくから」

 言いながら立ち上がり、保険医は白衣を翻した。

 誠が無言で僕の肩に手を置いた。激しく落ち込んでいるのを、少しでも励まそうとしてくれているのだ。

 あのあとタイミングよく顧問の長谷川先生が駆けつけてくれて、誠と共に保健室へと運んでくれた。

 右足の腫れから捻挫だと予測がついたが、これじゃあ二日後の試合には当然出れない。

 保険医に湿布を貼ってもらい、治るのに二、三週間はかかると言われた。

「今日から二日間は局所の安静が必要になるから、家で大人しくすること。いいわね?」

「……分かりました」

 となると病院はいつ行けばいいんだろう?

 明日か? わざわざ母さんに頼んで連れて行ってもらわなければ、安静とは言えないんじゃないか?

 軽く頭を抱えた。保険医は以上で終わりだと言わんばかりに、僕たちに背を向けてデスクに向かった。

 再び長谷川先生の肩を借りて、保健室をあとにした。

「坂下、この時間お家の人は誰かいるか?」

 母や紗代子叔母さんのことを考え、首を振る。